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ヨブ記 27書

22章 
 1 デマン人エリバズは答えて言った。
2 「人は神を益することができるであろうか。
 賢い人も、ただ自身を益するのみである。
3 あなたが正しくても、全能者に何の喜びがあろう。
 あなたが自分の道を全うしても、
 彼になんの利益があろう。
4 神はあなたが神を恐れることのゆえに、
 あなたを責め、あなたをさばかれるであろうか。
5 あなたの悪は大きいではないか。
 あなたの罪は、はてしがない。
6 あなたはゆえなく兄弟のものを質に取り、
 裸な者の着物を剥ぎ取り、
7 疲れたものに水を飲ませず、
 飢えた者に食物を与えなかった。
8 力ある人は土地を得、
 名ある人はそのうちに住んだ。
9 あなたは、やもめをむなしく去らせた。
 みなしごの腕は折られた。
10 それゆえ、わなはあなたをめぐり、
 恐怖は、にわかにあなたを驚かす。
11 あなたの光は暗くされ、
 あなたは見ることができない。
 大水はあなたを覆うであろう。
12 神は天に高くおられるではないか。
 見よ、いと高き星を。いかに高いことよ。
13 それであなたは言う、『神は何を知っておられるか、
 彼は黒雲を通して、さばくことができるのか。
14 濃い雲が彼を覆い隠すと、
 彼は見ることができない。
 彼は天の大空を歩まれるのだ』と。
15あなたは悪しき人々が踏んだ
 いにしえの道を守ろうとするのか。
16 彼らは時が来ないうちに取り去られ、
 その基は川のように押し流された。
17 彼らは神に言った。『われられを離れてください』と。
 また『全能者はわれわれに何をなしえようか』と。
18 しかし神は彼らの家を良い物で満たされた。
 ただし悪人の計りごとは
 わたしのくみする所ではない。
19 正しい者はこれを見て喜び、
 罪なき者は彼らをあざ笑って言う。
20 『誠にわれわれのあだは滅ぼされた』と。

21 あなたは神と和らいで、平安を得るが良い。
 そうすれば幸福があなたに来るでしょう。
22 どうか、彼の口から教えを受け、
 その言葉をあなたの心におさめるように。
23 あなたがもし全能者に立ち返って、おのれを低くし、
 あなたの天幕から不義を除き去り、
24 こがねをちりの中に置き、
 オフルのこがねを谷川の石の中に置き、
25 全能者があなたのこがねとなり、 
 あなたの貴重なしろがねとなるならば、
26 その時、あなたは全能者を喜び、
 神に向かって顔を上げることができる。
27 あなたが彼に祈るならば、彼はあなたに聞かれる。
 そしてあなたは自分の誓いを果たす。
28 あなたが事をなそうと定めるならば、
 あなたはそのことを成就し、
 あなたの道には光が輝く。
29 彼は高ぶるものを低くされるが、
  へりくだるものを救われるからだ、
 あなたはその手の潔いことによって、
 救われるであろう」。
23章
 1ヨブは答えた。
2 今日も、私は苦しみ嘆き、呻きのために、私の手は重い。
3 どうしたら、その方を見出せるのか。おられるところに行けるの か。
4 その方にわたしの訴えを差し出し、思う存分わたしの言い分を述べたいのに。
5 答えてくださるなら、それを悟り、話しかけてくださるなら、理解
しよう。
6 その方は強い力を振るって、わたしと争われるだろうか。いや、わたしを顧みてくださるだろう。
7 そうすれば、わたしは神の前に正しいとされ、わたしの訴えはとこしえに解決できるだろう。
8 だか、東に行ってもその方はおられず、西に行っても見定められない。
9 北にひそんでおられて、とられることはできず、南に身を覆っておられて、見出せない。
10 しかし、神はわたしの歩む道を、知っておられるはずだ。わた しを試してくだされた、金のようであることがわかるはずだ。
11 わたしの足はその方に従って歩み、その道を守って、離れたことはない。
12 その唇が与えた命令に背かず、その口が語った言葉を胸に納め た。
13 神がいったん定められたなら、誰も翻すことはできない。神は望むがままに行われる。

14 わたしのために定めたことを実行し、ほかにも多くのことを定めておられる。
15 それゆえ、わたしは御前におびえ、考えれば考えるほど、恐れ る。
16 神はわたしの勇気を失わせ、全能者はわたしをおびえさせる。
17 わたしは暗黒を前にし、目の前には闇が立ち込めているのに、なぜ、滅ぼしつくされずにいるのか。

24章
 1 なぜ、全能者のもとには、さまざまな時が蓄えられていないの か。なぜ、神を愛する者が、神の目を見ることができないのか。
2 人は地境を移し、家畜の群れを奪って自分のものとし
3 みなしごのろばを連れ去り、やもめの牛を質草にとる。
4 乏しい人々は道から押しのけられ、この地の貧しい人々は身を隠 す。
5 彼らは野ろばのように、荒れ野に出て労し、食べ物を求め、荒地で子に食べさせるパンを探す。
6 自分のものでもない畑で刈り入れをさせられ、悪人のぶどう畑で 残った房を集める。
7 着るものもなく裸で夜を過ごし、寒さを防ぐための覆いもない。
8 山で激しい雨にぬれても、身を避ける所もなく、岩にすがる。
9 父のない子は母の胸から引き離され、貧しい人の乳飲み子は人質に取られる。
10 彼らは身にまとうものもなく、裸で歩き、麦束を運びながらも自分は飢え
11 並び立つオリーブの間で油を搾り、搾り場でぶどうを踏みながらも乾く。
12 町では、死にゆく人々が呻き、刺し貫かれた人々があえいでいるが、神はその惨状に心を留めてくださらない。
13 光に背く人々がいる。彼らは光の道を認めず、光の射す所にとどまろうとしない。
14 人殺しは夜明け前に置き、貧しい者、乏しい者を殺し、夜になれば盗みを働く。
15 姦淫するものの目は、夕暮れを待ち、誰にも見られないように、と言って顔を覆う。
16 暗黒に紛れて家々に忍び入り、日中は閉じこもって、光を避け る。
17 このような者には、朝が死の闇だ。朝を破滅の死の闇と認めているのだ。
18 大水に遭えば彼はたちまち消え去る。この地で彼のし業は呪わ れ、そのぶどう畑に向かう者もいなくなる。
19 暑さと乾燥が雪溶け水をも消し去るように陰府は罪びとを消し去るだろう。
20 母の胎も彼を忘れ、蛆が彼を好んで食い、彼を思い出す者もなくなる。不正な行いは木のように折れ砕ける。
21 彼は不妊の女を不幸に落とし、やもめに幸福を与えることはなかった。
22 権力者が力を振るい、成功したとしても、その人生は確かではない。
23 安穏に生かされているようでも、その歩む道に目を注いでおられる方がある。
24 だから、しばらくは栄えるが、消え去る。すべて衰えてゆくものと共に倒され、麦の穂のように刈り取られるのだ。
25 だが、そうなってはいないのだから、誰が、わたしをうそつきと呼び、わたしの言葉をむなしいものと、断んじる事ができようか。

25章
 1 シュア人ビルダドは答えた。
2 恐るべき支配の力を神は御もとに備え、天の最も高いところに平和を打ち立てられる。
3 まことにその軍勢は数限りなくその光はすべての人の上に昇る。
4 どうして、人が神の前に正しくありえよう。どうして、女から生まれたものが清くありえよう。
5 月すらも神の前では輝かず、星も神の目には清らかではない。
6 まして人間は蛆虫、人の子は虫けらにすぎない。

26章
 1 ヨブは答えた。
2 あなた自身はどんな助けを力のない者に与え、どんな救いを無力な腕にもたらしたというのか。
3 どんな忠告を知恵のない者に与え、どんな策を多くの人に授けたというのか。
4 誰の言葉を取り次いで語っているのか。誰の息吹があなたを通して吹いているのか。
5 亡者たち、陰府の淵に住む者たちは水の底でのた打ち回る。
6 陰府も神の前ではあらわであり、滅びの国も覆われてはいない。
7 神は聖なる山を茫漠としたさかいに横たわらせ、大地を空虚の上につるされた。
8 密雲の中に水を蓄えられても、雲の底は避けない。
9 神はご自分の雲を広げて、玉座を覆い隠される。
10 原始の海の面に円を描いて、光と暗黒との境とされる。
11 天の柱は揺らぎ、その叱咤に動転する。
12 神は御力をもって海を制し、英知を持ってラハブを打たれた。
13 風を持って天をぬぐい、御手は逃げる大蛇を刺し貫いた。
14 だが、これらは神の道のほんの一端。神について私たちの聞きえることは、なんと僅かなことか。その雷鳴の力強さを誰が悟りえよう。 

27章
 1 ヨブは更に言葉をついで主張した。
2 わたしの権利を取り上げる神にかけてわたしの魂を苦しめる全能者にかけてわたしは誓う。
3 神の息吹がまだわたしの鼻にあり、わたしの息がまだ残っている限り
4 この唇は決して不正を語らず、この舌は決して欺きを言わない、 と。
5 断んじて、あなたたちを正しいとはしない。死に至るまで、わたしは潔白を主張する。
6 わたしは自らの正しさに固執して譲らない。一日たりとも心に恥じるところはない。
7 わたしに敵対する者こそ罪に定められ、わたしに逆らう者こそ不正とされるべきだ。
8 神に命を断たれ、魂を取り上げられるのだから、神を無限するものにどんな望みがあろうか。
9 災いが彼に望むとき、その叫びを神は聞いてくださるだろうか。
10 全能者によって喜びを得、常に神を呼び求めることができるだろうか。
11 わたしがあなたたちに神の手の業を示し、全能者について隠さずに語ろう。
12 あなたたち自身、それを仰いだのに、なぜ、空しいことを繰り返すのか。
13 神に逆らうものが神から受ける分、暴虐な者が全能者から与えられるし業は、次のとおり。
14 たとえ多くの息子があっても、剣にかかり、子孫は食べ物にも事欠く。
15 残ったものが死んで葬られても、やもめたちは泣くことすらしない。
16 土を盛るように銀を積み、粘土を備えるように衣服を備えても
17 その備えた衣服は正しい人が着、その銀は潔白な人の所有とな る。
18 家を建てても、しみの巣のよう、番人の作る仮小屋のようなものだ。
19 寝るときには豊かであっても、それが最後、目を開けば、もう何ひとつない。
20 破滅が洪水のように彼を覆い、つむじ風が夜の間にさらう。
21 東風に運び去られて、彼は消えうせ、その住まいから吹き払われる。
22 神は彼に覆いかかり、許さない。御手から逃れようと彼はあが く。
23 神は彼に向かって手をたたき、その住まいから彼を吹き飛ばす。
  
 
 
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